大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(ネ)2929号 判決

河川区域内の土地について占用許可がされた場合、その占用許可による使用権の性質について考えてみるに、河川区域内の土地は、河川の流路を形成して、流水を安全に流下させ、洪水による被害を除却または軽減させるという治水目的に供せられているものであり、かつ、公共用物として本来一般公衆の自由な使用に供せられるべきものであるから(河川法一、二、三条)、占用許可による使用権は、河川区域内の土地という右土地の用途に伴う制約を当然に受けるべき不安定な権利であり、その占用許可の目的がゴルフ場として使用することを認めるような場合であっても、長期間の使用権を認めるものではなく、河川法七五条二項に該当するような事由が生じたときには、使用権が消滅すべきものであり、また、権利自体に右のような制約が内在しているものとみるべきである(占用許可にあたり、占用の目的にそぐわない六か月、一か年または三か年という短期の期間が設定されている場合、関係者間でかかる短期間で使用権が消滅することを諒承しているとはいえず、それは河川管理者側の事務処理の都合上定められたものと解されるので、それは、期間について定めがないものというべきであり、右短期の期間の更新の拒絶は、占用許可の取消と解される。)。それで、河川法七五条二項に基づき占用許可が取消された場合も、全く予期に反するような短期間で使用権が消滅させられたような特別の事情がないかぎり、使用権の喪失についての損害、原状回復に関する費用の損害、設置した施設の移転、修復に関する損害等について補償を求めることはできないものというべきである(行政財産の使用許可の取消と損失補償の関係について、最高裁第三小法廷昭和四九年二月五日判決・民集二八巻一号一頁)。

本件の場合に、右認定事実によると、本件用地の占用許可は、昭和三八年一〇月から昭和四七年九月三〇日まで約九年間も継続しており、占用許可の更新を認めなかった内容も、公共性の高い事業といえる東北新幹線の新利根川橋梁建設用地に供するためであり、その範囲も、ゴルフコースの一部変更を余儀なくするものではあるが、それは占用許可の面積四二八、九〇八平方メートルの内の二一、九一七平方メートルにとどまるものであり、控訴人が国(河川管理者)に対して補償を求めうるような右特別事情があったとは認められないばかりか、本件の河川管理者は、控訴人から被控訴人に占用許可の引継ぎが円滑に実施されるように、昭和四七年三月一日に控訴人の代表者を利根川上流工事事務所に招き、協力を要請し、その際被控訴人の橋梁建設に必要な本件用地を昭和四七年九月三〇日限りで控訴人から返還を求めることに関連し、代りに一部占用面積を増加する旨約束し、昭和四七年六月一七日に二、二四三平方メートルを増加して占用許可しているのであり、控訴人が本件用地の返還にあたってこのように予め代替地を取得している経緯からいっても、控訴人の主張するような欺罔行為や河川法に基く補償請求権喪失による損害があったとは認めることができない。

(伊藤 小山 山田)

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